大腸がんと痔の違いとは?血便の色と便の細さで見極める重大サイン
大腸がんと痔の違いとは?血便の色と便の細さで見極める重大サインについて専門的な視点から解説いたします。最新の情報をチェックしてください。
大腸がんのほとんどは、最初から悪性腫瘍として発生するわけではありません。多くは良性の腺腫性ポリープから数年〜10年以上の歳月をかけて遺伝子変異を蓄積し、がん化へと移行していきます(adenoma-carcinoma sequence)。しかし、ここで残酷な事実を提示しなければなりません。大腸ポリープ自覚症状の真相は、早期の段階では「ほぼ100%無症状」であるという点です。
ポリープのサイズが1cm〜2cm未満のうちは、腸の内腔を塞ぐこともなく、便の通過を阻害しません。出血も肉眼で視認できるような量ではなく、顕微鏡レベルの微量出血にとどまります。この無自覚の微小出血を科学的に検出するために設計されているのが、健康診断や人間ドックで実施される「便潜血検査(2日法)」です。
しかし、健康診断で便潜血陽性の通知を受け取った人のうち、およそ3割から4割が精査を受けずに放置しているという厚生労働省系の調査データが存在します。その放置理由の筆頭が「自分は痔持ちだから、痔の血が混ざったに違いない」という勝手な決めつけです。
日本消化器がん検診学会の指針が示す通り、便潜血検査で陽性が出る理由として、痔による偶発的な混入の可能性はもちろん否定できません。しかし、便潜血検査が陽性となった受診者のうち、大腸がんが発見される確率は約3〜5%、良性ポリープ(早期切除すべき病変)が発見される確率は30〜50%に達します。つまり、陽性判定を受けた人の2人に1人は、腸管内に確実な器質的病変を抱えている計算になります。2回法のうち「1日目だけが陽性で2日目は陰性だったから大丈夫」という解釈も極めて危険であり、1回でも陽性が出た時点で全大腸の精査基準を満たします。