豊川悦司『愛していると言ってくれ』色気と手話の秘密!名作の裏側と現在
豊川悦司『愛していると言ってくれ』色気と手話の秘密!名作の裏側と現在の総合ガイドを解説します。専門的な知識が満載です。
『愛していると言ってくれ』を語る上で欠かせないのが、第1話で描かれた「木の上のリンゴ」をめぐる出会いの名シーンです。井の頭恩賜公園の緑豊かな木漏れ日の中、背伸びをしてもリンゴに手が届かない紘子(常盤貴子)のために、通りかかった晃次が無言で手を伸ばしてリンゴをもぎ取り、彼女に手渡す瞬間は、平成ドラマ史に残る美しいプロローグとなりました。
当時23歳だった常盤貴子と33歳の豊川悦司の間には、役柄そのままの10歳の年齢差がありました。常盤貴子は当時の特別番組や後の対談インタビューにおいて、「現場での豊川さんはまさに晃次そのもので、カメラが回っていないときも独特の静けさと包容力を持っていた。晃次さんの手の動きや真っ直ぐな瞳に見つめられると、自然と感情が引き出されて涙が溢れた」と振り返っています。
撮影現場は非常にストイックな空気に包まれていました。手話と音声日本語のタイミングを合わせる難しさに加え、屋外ロケでは周囲の雑音と演技の静寂のコントラストを保つため、テイクが重ねられることもしばしばでした。二人が紡ぎ出す空気感は、計算された芝居を超えた生々しい魂の対話であり、それが画面越しに視聴者の胸を打つ決定的な要因となりました。