ブリーチなしピンクの限界は?黒髪から染まる真相とトーン別発色実例

ブリーチなしピンクの限界は?黒髪から染まる真相とトーン別発色実例について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をチェックしてください。

「地毛の黒髪からブリーチを一切使わずに、韓国アイドルのようなミルキーピンクや淡い桜色に染まりますか?」という問いに対し、取材に応じた都内激戦区のカラー専門美容師は「毛髪科学の観点から答えるなら、100%不可能です」と断言します。なぜそこまで明確に否定できるのか、その理由は日本人の毛髪が持つ「メラニン色素」の構造にあります。

黒髪の内部には、黒褐色を司るユーメラニンが大量に密集しています。ヘアカラーのメカニズムは、薬剤に含まれるアルカリと過酸化水素でこのユーメラニンを脱色(リフト)しながら、同時に酸化染料を発色(トーンオントーン)させる仕組みです。しかし、ブリーチを含まない通常のアルカリカラー剤では、黒髪を一度の施術で脱色できる限界が12〜13トーン前後に設計されています。

さらに厄介なのが、脱色過程で必ず現れる「赤橙色(アンダートーン)」の存在です。日本人の髪は脱色されるにつれて「黒→赤褐→橙→黄」へと推移しますが、ブリーチなしの脱色力ではオレンジみが強く残るアンダー領域までしか到達できません。オレンジ色のキャンバスの上に淡いピンクの絵の具を重ねても、色が相殺されて濁った赤茶色になるか、あるいはピンクが黒褐色に飲み込まれてしまうのです。

日本ヘアカラー協会(JHCA)の関係者によると、「ブリーチなしでピンクに染める」という行為の正確な正体は、「地毛の黒をわずかに明るくし、光の反射で赤みがかったツヤを生み出すこと」を指します。鮮明な発色や白っぽさを伴うピンクは、ベースの髪色を16〜18トーン(薄い黄色)まで脱色して初めて成立する表現であり、黒髪からのワンステップでは物理的な限界を迎えます。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest