十二支に猫がいない本当の理由は?昔話の騙された真相と世界の干支
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物語としては非常にユーモラスで哀愁漂う昔話ですが、文献史学や考古学のメスを入れると、全く別の「動かせない歴史的事実」が浮かび上がってきます。猫が十二支に入っていない最大の理由は、性格の善悪でも競争の勝敗でもなく、十二支の枠組みが完成した当時、古代中国の一般社会に家猫(イエネコ)がそもそも存在していなかったからです。
十二支の起源は、紀元前1600年頃の中国・殷(商)時代の甲骨文字にまで遡ります。元々は年・月・日・時刻や方角を数えるための12の記号(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)であり、最初から動物が割り当てられていたわけではありません。庶民に覚えやすく普及させるため、漢代(紀元前206年〜紀元後220年頃)にかけて身近な動物が当てはめられていきました。前漢末から後漢初期の学者・王充が著した『論衡』(86年頃成立)には、現在の十二支とほぼ一致する動物の記述がすでに完成しています。
対して、現在の家猫の直接の祖先である「リビアヤマネコ」が古代エジプトで家畜化され、シルクロードを経由して中国中原地方に本格的に伝来したのは、仏教の経典をネズミの害から守る目的で輸入された漢代中期から唐代(7世紀以降)とされています。つまり、十二支のシステムと配分動物が固定化された時点で、古代中国の知識人や農民にとって猫は「身近な家畜」はおろか、見かけることすらない珍奇な外来動物に過ぎませんでした。