ブルンストロームステージ上肢の判定基準|臨床で迷う理由と評価の極意
ブルンストロームステージ上肢の判定基準|臨床で迷う理由と評価の極意の注目ポイントを分かりやすくまとめてご紹介します。
評価を行う上で絶対に避けるべきは、「上肢がステージIVだから手指もステージIVだろう」というような類推による判定です。臨床ではブルンストロームステージ手指やブルンストロームステージ下肢の回復度合いと上肢の段階が食い違う現象が当たり前のように発生します。
この解離が生じる最大の理由は、皮質脊髄路(錐体路)の支配密度と機能解剖学的な役割の差にあります。手指は、道具を操作するために大脳皮質からの直接的な単シナプス投射を極めて濃密に受けています。そのため、脳卒中による虚血や出血のダメージを受けた際、屈曲共同運動の塊から「個別の指を伸ばす・物を離す」という巧緻動作を回復させる難易度が上肢近位部よりもはるかに高くなります。実際、上肢帯がステージIVに達して腕を前方に挙げられる患者であっても、手指はステージIII(集団握りのみ可能で、随意的な指の伸展が一切できない)にとどまるケースは珍しくありません。
一方、下肢は歩行や起立といった「抗重力位での支持」を主目的とする構造を持ち、網様体脊髄路などの皮質下経路の関与が上肢よりも色濃く残されています。下肢の伸展共同運動は荷重応答として実用的に働きやすいため、上肢よりも早くステージが進んでいるように見えがちです。しかし上肢は、空間の任意の場所へ手先を運ぶという「3次元的な自由度」が要求されるため、肩関節・肘関節・前腕の運動連鎖を独立してコントロールする分離運動評価が極めてシビアに問われます。各部位の回復速度のズレを正しく捉えることこそが、個別性の高い病態把握の第一歩となります。