ちあきなおみ『夜へ急ぐ人』の狂気と紅白歌合戦に刻まれた真相
話題沸騰中の ちあきなおみ『夜へ急ぐ人』の狂気と紅白歌合戦に刻まれた真相について、詳しいまとめをご紹介しています。
音楽的な観点からも、本作は極めて前衛的な構造を持っている。当時の昭和歌謡が洗練されたオーケストレーションや耳馴染みの良いメロディを追求していたのに対し、本作が提示したのはアシッドフォークやフォークロックの凶暴なエッセンスだった。
情念を削り出したアコースティックギターのアルペジオに、うねるベースラインと不気味な管弦楽が絡み合う。アレンジを手掛けた青木望の手腕も見事というほかない。民俗的な土俗性とプログレッシブな実験性が融合したそのサウンドは、当時の歌謡界の常識を軽々と飛び越えていた。歌謡曲という巨大な器のなかで、アンダーグラウンドの熱量が火花を散らした瞬間だった。