ワーグナーの結婚行進曲はなぜ不吉?メンデルスゾーンとの違いと真相

ワーグナーの結婚行進曲はなぜ不吉?メンデルスゾーンとの違いと真相について徹底解説いたします。最新の情報をご確認ください。

「結婚式でワーグナーを流すと離婚する」「不吉なジンクスがある」という言説は、単なる都市伝説ではありません。この曲の出自である歌劇(オペラ)『ローエングリン』のストーリー展開にその直接的な原因があります。

この楽曲は、劇中の第3幕冒頭で歌われる「婚礼の合唱(Treulich geführt)」が原曲です。白鳥の騎士ローエングリンと結ばれたヒロインのエルザが、参列者たちに導かれて新婚の寝室へと入る場面で合唱されます。しかし、この祝祭の時間は長く続きません。

ローエングリンは結婚の絶対条件として「自分の素性や名前を決して尋ねてはならない」という誓いを立てさせていましたが、悪役の策略と不安に駆られたエルザは、なんと新婚初夜の部屋で禁問を破ってしまいます。その直後、寝室に刺客が乱入してエルザの目の前で切り殺され、正体を明かさざるを得なくなったローエングリンは彼女のもとを永遠に去り、エルザは絶望のあまり息絶えるという救いのない結末を迎えます。

つまり、物語の文脈においてこの合唱曲は「破滅と永遠の別れの直前に歌われた不吉なプレリュード」に他なりません。物語の結末を知るクラシック愛好家やヨーロッパの伝統的なキリスト教信徒の間で「婚礼に縁起が悪い」と忌避されるのは、こうした明確な物語的背景があるからです。

田中 結衣

田中 結衣

デジタルマーケティングコンサルタント

グルメと旅を愛するフリーライター。全国各地の隠れた魅力を独自の視点から紹介します。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest