学校のチャイム「キーンコーンカーンコーン」発祥の秘密と感動の歴史

学校のチャイム「キーンコーンカーンコーン」発祥の秘密と感動の歴史にまつわる興味深い視点を詳しく紐解きます。

学校チャイムの歴史における決定的な出来事は、1954年(昭和29年)、東京都大田区立大森第四中学校で起きました。当時、同校で教壇に立っていた井上尚慶教諭は、サイレンの耳障りな音響が生徒の情緒に与える悪影響を深く憂慮していました。ある日、NHKの海外短波放送(BBC)から流れてきた「ビッグベンの鐘の音」を耳にした井上教諭は、「この荘厳で澄んだメロディこそ、生徒たちの心を落ち着かせる理想の音だ」と直感したと当時の記録に残されています。

井上教諭は自らオルゴールや鉄琴を工夫してウェストミンスターの音階を再現しようと試みましたが、校内放送で安定して自動再生することは困難を極めました。そこで協力を仰いだのが、神戸に本社を置く音響機器専業メーカーのTOA株式会社(当時:東亜特殊電機)でした。

TOAの開発チームは、真空管アンプと微細な金属棒(音叉・トーンバー)をモーターで自動打鐘する画期的な「ミュージックチャイム装置」の開発に着手。幾度もの試作を経て、1957年に初代チャイム装置が製品化されました。大森第四中学校で初めて澄み渡る「キーンコーンカーンコーン」が校舎に流れた瞬間、生徒や教職員から大きな歓声と安堵のため息が漏れたという証言は、同社の社史や教育関係者の手記に感動的なエピソードとして刻まれています。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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