「していません」は失礼?目上への正しい敬語と失敗しない言い換え術

「していません」は失礼?目上への正しい敬語と失敗しない言い換え術の真相について、専門知識を取りまとめてご紹介します。

「していません」という言葉の構造を分解すると、動詞「する」の連用形「し」に補助動詞「いる」の連用形「い」、そして丁寧の助動詞「ます」の未然形「ませ」と打ち消しの助動詞「ん」が結合した形である。文法的には間違いのない丁寧語であり、同僚同士の会話や日常会話において何の問題もない表現だ。

しかし、文化庁が策定している『敬語の指針』を紐解くと、ビジネスシーンにおける「目上の人への敬意」の基準が見えてくる。敬語は大きく「尊敬語」「謙譲語Ⅰ」「謙譲語Ⅱ(丁重語)」「丁寧語」「美化語」の5分類に定義されている。丁寧語は「話者が聞き手に対して丁寧に述べる言葉遣い」にとどまり、自分側の行為をへりくだって相手を立てる機能(謙譲の働き)を持たない。

つまり、上司や社外の取引先といった目上の人への敬語として「していません」を使うと、敬意のベクトルが不足するのだ。受け手の心理としては「事実を淡々と述べられただけ」「言い訳や居直りに聞こえる」といったネガティブな解釈が生まれやすい。ビジネスマナーにおいて「していません」が敬遠される最大の理由は、文法の正しさではなく、関係性に対する「敬意の深さ」が相手の期待値を下回る点にある。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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