爪の中に黒い点が突然できた?ほくろとメラノーマの見分け方と受診目安
爪の中に黒い点が突然できた?ほくろとメラノーマの見分け方と受診目安について分かりやすく解説いたします。専門家の見解をお届けします。
爪の中に現れる黒褐色や紫黒色の斑点は、爪そのものが着色しているのではなく、爪甲(そうこう:爪の硬い板)の下にある「爪床(そうしょう)」や、爪を作り出す根元の「爪母(そうぼ)」で生じた変化が透けて見えている状態です。爪に黒い点が突然できた理由を探る際、まず鑑別すべき代表的な原因は主に3つ存在します。
1つ目は、最も頻度の高い爪甲下血腫(そうこうかけっしゅ)です。ドアに指を挟んだり、足に合わない窮屈な靴を履いて歩き続けたりした際に、爪の下にある細小血管が破れて出血し、血液が固まることで黒い点や斑点として現れます。強い衝撃だけでなく、重い荷物を持った、スポーツで微小な負荷が連続してかかったといった日常の些細な圧迫でも発生するため、本人が外傷を自覚していないケースも珍しくありません。
2つ目は、爪母に存在するメラノサイト(色素細胞)の増殖や活性化によるものです。これには良性の「ほくろ(母斑細胞母斑)」や、メラニン色素が過剰に産生されて爪に黒い筋が入る爪甲色素線条(そうこうしきそせんじょう)が含まれます。爪甲色素線条の原因と特徴としては、アディソン病などの内分泌疾患、特定の薬剤(抗がん剤など)の副作用、あるいは爪を噛む癖などの慢性的刺激によってメラノサイトが刺激されることが挙げられます。通常、均一な濃さの細い線や安定した点として留まります。
3つ目が、最も警戒すべき悪性黒色腫(爪部メラノーマ)です。皮膚がんの中でも極めて転移しやすく悪性度が高い腫瘍で、爪母に発生します。日本人をはじめとする東洋人では、足の親指や手の親指など、手足の先端(先端巨大部黒子型)に好発する傾向が確認されています。「単なる血豆だろう」と自己判断して放置している間に病変が深部へ浸潤し、リンパ節や他臓器へ遠隔転移するリスクを孕んでいます。