おやつの時間はなぜ3時?体内時計Bmal1と江戸の知恵を徹底解明
おやつの時間はなぜ3時?体内時計Bmal1と江戸の知恵を徹底解明について見逃せない ポイントを分かりやすく解説いたします。
おやつの時間は、個人の栄養補給という側面に加え、現場の安全性や人間関係を維持するための重要な社会装置としても機能してきました。その実態は、教育・保育の現場や、厳しい自然と対峙する伝統産業の現場観察から克明に見えてきます。
保育園における「午後のおやつ」は第4の食事である
多くの保育施設において、スケジュール表には午後3時(または15時15分頃)に「おやつ」が明確に位置づけられています。全国保育協議会などの指針でも強調されている通り、幼児期の子どもにとってのおやつは、大人のような単なる「楽しみや息抜き」ではありません。
胃の容量が小さく消化吸収能力が未発達な幼児は、朝・昼・夕の3食だけでは、活発な身体活動に必要なエネルギーやビタミン、ミネラルなどの微量栄養素を補いきれません。そのため保育現場では、おやつを「捕食」ならぬ「補食(ほしょく=食事を補うもの)」と位置づけています。実際に提供されるメニューも、スナック菓子ではなく、小さなおにぎり、ふかし芋、手作りの蒸しパン、牛乳といった主食に近い栄養価の高い献立が組まれています。お昼寝から目覚めた後の水分補給と活動モードへの切り替えを促す意味でも、この「午後3時」のリズムは極めて機能的なのです。
過酷な現場を支える「10時と3時の一服」の精神的バウンダリー
一方、大人の現場でもおやつは生命線となってきました。NHKのドキュメンタリー番組『新日本風土記』の特集でも取り上げられたように、高所作業を伴う宮大工の世界では、古くから午前10時と午後3時の休憩(一服)が絶対のルールとして受け継がれています。一瞬の気の緩みが命取りになる建築現場において、張り詰めた緊張の糸を計画的に緩め、血糖値を回復させて集中力を取り戻すための安全管理手法が、この「3時のおやつ」でした。
また、三重県鳥羽市などで知られる海女(あま)たちの文化でも、海から上がった後に「海女小屋」のかまどを囲んで口にする温かいお茶とお餅などの素朴なおやつは、過酷な潜水で極限まで冷え切った体温を回復させるだけでなく、命を預け合う仲間同士の絆を確かめ合う不可欠な共同作業となっています。孤立して作業を続けるのではなく、食を共にして心理的な境界(バウンダリー)をリセットする――おやつの時間には、そうした集団のメンタルヘルスを保つ知恵が宿っているのです。