強盗傷害の量刑相場と執行猶予の条件|初犯でも実刑になる境界線
強盗傷害の量刑相場と執行猶予の条件|初犯でも実刑になる境界線にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。
「初犯であれば、どんな犯罪でも執行猶予が付くのではないか」という認識は、強盗傷害罪においては完全に崩壊します。強盗傷害(強盗致傷)罪で起訴された場合、法律の構造上、原則として刑務所への収監(実刑)が確定します。これには明確な法理的理由が存在します。
刑法第25条第1項において、裁判所が執行猶予を言い渡すことができるのは「3年以下の懲役・禁錮または50万円以下の罰金」を言い渡す場合に限定されています。しかし、刑法第240条前段が定める強盗傷害罪の法定刑下限は「懲役6年」です。つまり、そのままの法定刑を適用する限り、裁判官がいくら被告人に同情したとしても、法律の規定により執行猶予を付すことは不可能なのです。
ここで整理すべきは、基本犯である強盗罪と強盗致傷罪の違いです。強盗罪(刑法第236条)は「暴行または脅迫を用いて他人の財物を強取」する犯罪であり、その法定刑は「5年以上の有期懲役」です。これに対し、強盗の機会に被害者に怪我を負わせた場合に成立する強盗致傷罪(強盗傷害罪)は、結果的加重犯として一気に「無期または6年以上の懲役」へと跳ね上がります。さらに被害者が死亡した場合は強盗致死罪(刑法第240条後段)となり、法定刑は「死刑または無期懲役」のみという究極の重罪に位置づけられています。
裁判統計および法務省の犯罪白書を紐解くと、強盗傷害罪で有罪判決を受けた被告人のうち、執行猶予が適用される割合は例年わずか10%未満にとどまります。初犯であっても実刑となるのが基本線であり、裁判所は「他人の財産を強取するために人の身体に危害を加える行為」を極めて悪質とみなしているのです。