『もののけ姫』の裏設定と官能の真相|タタラ場女性や宮崎駿の真意

『もののけ姫』の裏設定と官能の真相|タタラ場女性や宮崎駿の真意にまつわる最新トピックを詳しく紐解きます。

物語の中核を成すアシタカとサンの関係性は、一般的なアニメーションに見られる純愛ドラマの枠組みを大きく踏み越えています。宮崎駿監督のインタビュー集『風の帰る場所』(ロッキング・オン)や制作現場を追ったドキュメンタリーにおいて、監督自身が語った2人の関係に関する言葉は極めて刺激的です。

宮崎監督は、アシタカという青年について「彼は決して聖人君子ではなく、生きる衝動に満ちた生々しい若者である」と述べています。故郷のエミシの村で許嫁であった少女・カヤから受け取った大切な「玉の小刀(黒曜石のナイフ)」を、出会って間もないサンへあっさりと手渡してしまう行動について、監督は当時の制作スタッフの前で「男なんてそんなものだ」と語り、男性の本能的な身勝手さと情熱を隠そうとしませんでした。

さらに、後半部でサンがアシタカの介抱を受け、シシ神の森で夜を過ごすシークエンスについて、ファンの間では「肉体関係があったのではないか」という議論が長年続けられています。直接的な性描写はもちろんありませんが、宮崎監督は「アシタカとサンは完全に結ばれた」という趣旨の発言を残しており、精神的のみならず全人的なレベルでの融即(一体化)が行われたことを示唆しています。

ラストシーンで、サンは「アシタカは好きだが、人間を許すことはできない」と告げ、アシタカは「それでもいい。サンは森で、私はタタラ場で暮らそう。共に生きよう。会いに行くよ」と返します。これは安易な同棲や結婚という枠組みを拒絶し、互いの領分(バウンダリー)を守りながら、生涯にわたって濃密な関係を結び続けるという究極の自立的愛のかたちを提示しているのです。

加藤 愛美

加藤 愛美

エンタメ専門ジャーナリスト

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest