アマミノクロウサギ生息数激増の真相|マングース根絶と最新の脅威

アマミノクロウサギ生息数激増の真相|マングース根絶と最新の脅威の詳細解説をお届けします。専門的な知識がチェックできます。

情報空間やSNSでは時折、「奄美大島のアマミノクロウサギは増えすぎて害獣化している」「もう絶滅危惧種から外してもよいのではないか」といった極端な言説が散見される。しかし、これは島嶼生態学の脆弱性を無視した重大な誤解と言わざるを得ない。

第一の盲点は、彼らが「世界で奄美大島と徳之島という極めて限られた閉鎖的島嶼環境にしか存在しない」という冷厳な事実だ。数万頭という推計値は一見多く思えるが、万が一未知の感染症が侵入したり、大規模な森林伐採や未曾有の台風直撃が重なったりすれば、瞬く間に個体群が崩壊しかねない危うさを孕んでいる。

第二の盲点が「天敵ノネコ問題」の複雑さだ。マングースが森から去った後、森の生態系の頂点に君臨しつつあるのが、人間が捨てたり外飼いから野生化したりした猫(ノネコ)である。自動撮影カメラには、ノネコがアマミノクロウサギの成獣や幼獣をくわえて運ぶ決定的な姿が幾度となく記録されている。行政と地元獣医師会、保護団体はノネコを捕獲して人馴れ訓練を行い、里親へ譲渡する懸命のプログラムを進めているが、家庭猫の不適切な遺棄やマイクロチップ未装着の放し飼いが根絶されない限り、この蛇口は閉まらない。

さらに現在最も喫緊の課題となっているのがロードキル対策だ。環境省や自治体は、ロードキル多発区間への減速帯の設置、動物用アンダーパス(横断地下道)の整備、注意喚起看板の設置などを進めている。しかし、時速40km以上の速度で走行する車両に対してウサギの回避行動は間に合わない。車道脇に生える柔らかな新芽を食べに来る習性があるため、道路そのものがウサギにとっての「魅惑的な罠」と化しているのだ。

小林 直樹

小林 直樹

トレンドリサーチャー

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest