樹木希林の名言が今も響く理由|孤独と老いを愛した人生の真意とは

樹木希林の名言が今も響く理由|孤独と老いを愛した人生の真意とはの見逃せないポイントを徹底的にカバーしました。

希林さんの人生を語る上で避けて通れないのが、ミュージシャンの内田裕也さんとの特異な関係性です。1973年に出会ってわずか数か月で結婚したものの、激しい家庭内暴力やトラブルが続き、実質的な同居期間は1年半ほど。その後、40年以上にわたり別居生活を継続しました。

1981年に裕也さんが無断で提出した離婚届に対し、希林さんは即座に無効を訴えて裁判で勝訴したエピソードは有名です。世間からは「なぜそこまでして籍を残すのか」「泥沼の共依存ではないか」と奇異の目で見られることも少なくありませんでした。しかし、本人がテレビの特番やインタビューで語った言葉には、極めて明晰な論理が存在していました。

「結婚なんてものは若気の至りでしなきゃダメ。分別がついてからじゃあんな恐ろしいことできない」「彼にはひとかけらの純粋さがあるから、私がそれを引き受けている」——。彼女は夫を自分好みに変えようとする「他者コントロールの欲望」を完全に放棄していました。相手の混沌を受け入れつつ、自らの生活空間には一切踏み込ませないという徹底した心理的境界線(バウンダリー)の確立こそが、破綻せずに絆を保ち続けた真相です。

この冷徹なまでの客観性は、一人娘である内田也哉子さんの子育てにも完全に適用されていました。也哉子さんに対して「親の顔色をうかがうな」「親も一人の不完全な人間である」と教え込み、幼少期から一人で物事を決断させる環境を整えました。親子の情に溺れず、互いを一個の自立した個体として扱う姿勢は、現代の家族社会学が提唱する「脱・共依存」の先駆的モデルケースと言えます。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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