なぜ深海でピンクに?キモカワ深海魚の正体と暗闇の進化論

なぜ深海でピンクに?キモカワ深海魚の正体と暗闇の進化論とは一体何なのか? 詳しい意味を簡潔に解説します。

深海を撮影した写真や映像を見ると、「なぜ真っ暗な海の中で、これほど鮮やかなピンクや赤色をしているのか」と疑問を抱く方は少なくありません。人間が照明を当てて観察するとピンク色は非常に目立ちますが、太陽光が差し込む自然界の海中では全く異なる物理現象が起きています。

水深が増すごとに、太陽光の波長は長いものから順に水分子に吸収されます。波長が最も長い赤色の光は水深10m〜20m前後でほぼ完全に吸収され、水深200mを超える深海(漸深層)には、波長の短い青や緑のわずかな光しか届きません。そして水深1,000mを越えれば、生物発光以外の光が存在しない完全な暗黒世界となります。

物体が「赤」や「ピンク」に見えるのは、赤系統の波長の光を反射しているためです。しかし、そもそも周囲に赤い光が存在しない深海では、反射すべき光そのものがありません。そのため、ピンクや赤色の皮膚を持つ深海魚は、周囲の青黒い海水の中に溶け込み「完全な黒(影)」として認識されます。捕食者や獲物の目から完全に姿を隠すための「究極の保護色(光学迷彩)」なのです。

では、なぜ最初から黒い色素(メラニン)を作らないのでしょうか。海洋生物学の研究によると、エサが極めて乏しい深海環境において、大量のメラニン色素を生合成し続けることはエネルギーコストの面で大きな無駄となります。皮膚を薄くして皮下の血管を透けさせたり、捕食した甲殻類に含まれるアスタキサンチンなどのカロテノイド色素を効率よく沈着させたりする方が、最小限のカロリー消費で黒と同等の隠蔽効果を得られます。ピンク色とは、過酷な深海を生き抜くために削ぎ落とされた、エネルギー節約型の合理的なカモフラージュなのです。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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