ハヴィガーストの発達課題とは?6つの発達段階とエリクソンとの違い

ハヴィガーストの発達課題とは?6つの発達段階とエリクソンとの違いとはどのようなものなのか? 背景や要点を整理してお届けします。

ハヴィガーストは、人間が生涯の中で健全に成長し、幸福な人生を送るために各時期で達成すべき課題を「発達課題(Developmental Tasks)」と名付けました。彼の主著『人間の発達課題と教育(Human Development and Education)』(1953年)において示された定義によると、発達課題とは「人生の特定の時期に生じる課題であり、それを首尾よく達成すれば個人は幸福になり、その後の課題も成功するが、失敗すれば個人は不幸になり、社会から承認されず、その後の課題達成も困難になるもの」とされています。

ハヴィガースト理論の最大の特徴は、発達課題が生じる源泉を以下の3つの要素の相互作用として捉えている点にあります。

  • 身体的成熟:歩行や排泄のコントロール、第二次性徴、更年期の生理的変化など、生物学的な身体変化に伴う課題。
  • 文化的圧力(社会的期待):読み書きの習得、良き市民としてのルール遵守、職業の選択など、社会や文化が個人に要求する課題。
  • 個人の価値観や自我:人生観の確立、道徳観の形成、自律的な選択など、個人の内省や主体性から生まれる課題。

この3要素を踏まえ、ハヴィガーストは人の一生を「乳幼児期」「児童期」「青年期」「成人初期」「壮年期(中年期)」「老年期」の6つの時期に区分しました。全体像を把握するため、まずは全6段階の課題一覧を確認します。

発達段階(時期)年齢の目安達成すべき主な発達課題課題の本質と獲得目標乳幼児期0歳〜6歳頃歩行の学習、固形食の摂取、発話、排泄のコントロール、性差の識別と慎み、生理的安定、社会・身体的現実の概念形成、家族や他者との情緒的関係の構築、善悪の区別と良心の萌芽基本的身体機能の確立と人間関係・道徳性の原点形成児童期(学童期)6歳〜12歳頃遊戯に必要な身体的技能の習得、自己に対する健全な態度形成、同年代の仲間との協調、適切な性役割の学習、読み・書き・計算の基礎能力、良心・道徳性・価値尺度の発達、個人的独立の達成学校教育を通じた基礎学力と同年代集団での社会化青年期12歳〜18歳頃同世代の男女との成熟した関係構築、男性・女性としての社会的役割の獲得、自己の身体の受容、両親や他の大人からの情緒的自立、経済的独立の確信、職業の選択と準備、結婚・家庭生活の準備、市民的資質と社会的責任ある行動の獲得、人生観・価値体系の確立心理的離乳(親からの独立)とアイデンティティ・職業準備の完了初期成年期(成人初期)18歳〜30歳頃配偶者の選択、配偶者との共同生活の学習、家庭の形成、子どもの養育、家庭の管理、職業生活の開始、市民的責任の引き受け、適切な社会集団の発見職業の確立と家庭生活の基盤構築、社会人としての参画壮年期(中年期)30歳〜60歳頃大人としての公民的・社会的責任の達成、生活の経済水準の確立と維持、思春期の子どもが責任ある大人になれるよう援助すること、大人の余暇活動の開拓、配偶者との人間的結びつき、中年期の生理的変化(更年期等)の受容と適応、老年の両親への適応(介護等)次世代育成、自身のキャリア・経済の安定、加齢と親世代のケア老年期60歳以降肉体的な力と健康の衰退への適応、引退と収入の減少への適応、配偶者の死への適応、同年齢層との明るく親密な関係維持、社会的・市民的義務の履行、満足すべき肉的生活環境の確立「喪失(健康・役割・配偶者)」への心理的適応と人生の統合
佐藤 大輔

佐藤 大輔

シニアコンテンツプロデューサー

最新のテクノロジーと生活デザインの融合をテーマに、国内外の最新トピックを発信しています。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest