新日鐵住金から住金が消えた真相と日本製鉄の現在|買収劇と業績推移
今注目を集めている 新日鐵住金から住金が消えた真相と日本製鉄の現在|買収劇と業績推移について、主要な情報を分かりやすく掲載しています。
時計の針をさらに巻き戻すと、そもそもなぜ新日本製鐵と住友金属工業という名門同士が手を組まざるを得なかったのかという問いに行き着きます。その引き金となったのは、2000年代以降に吹き荒れた世界的な鉄鋼業界の地殻変動でした。
最大の脅威は、インド出身の巨頭ラクシュミ・ミッタル率いるミッタル・スチールが欧州アルセロールを敵対的買収し、年間粗鋼生産量1億トン規模の怪物企業「アルセロール・ミッタル」を誕生させたことでした。さらに中国政府の主導による国営鉄鋼メーカーの急成長が重なり、原料である鉄鉱石や原料炭の価格交渉権を国際メジャーに握られる事態に直面します。日本国内でパイを奪い合っている場合ではなく、世界で互角に戦える規模を確保しなければ生き残れないという危機感が、両社のトップを突き動かしました。
また、両社の事業ポートフォリオは理想的な相互補完関係にありました。新日本製鐵は自動車向けなどの高級鋼板で圧倒的なシェアと顧客基盤を誇っていた一方、住友金属工業はエネルギー掘削用油井管(継目無鋼管=シームレスパイプ)において世界最強の技術力を握っていました。この強み同士を掛け合わせることで、国内外のあらゆる需要を網羅する総合鉄鋼メーカーを組成する青写真が描かれたのです。2012年の統合は、過剰設備に苦しむ日本の重厚長大産業が下した、必然の生き残り策でした。