赤と緑を混ぜると何色?絵の具と光で結果が激変する科学的真相
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ネット上のQ&Aサイトやまとめ記事で頻繁に見かける言説に、「赤と緑は補色だから、混ぜると完全な真っ黒になる」という説明があります。しかし、色彩学の専門的な見地から精査すると、この説明には重大な言葉の省略と誤解が含まれています。
まず押さえるべきは、「どの表色系(カラーシステム)の色相環を用いているか」という定義の違いです。
伝統的な美術教育で使われるゲーテやイッテンの「絵の具の色相環(RYB系)」では、赤の正面(補色)に緑が配置されています。しかし、現代の光学・印刷科学の基準である「マンセル表色系」や「PCCS(日本色研配色体系)」において、純粋な「赤(Red)」の心理補色は緑ではなく「青緑(ブルーグリーン/シアン)」です。同様に、純粋な「緑(Green)」の補色は「赤紫(マゼンタ)」に該当します。
そのため、市販の標準的な赤(カーマインやカドミウムレッド)と標準的な緑(ビリジアンやパーマネントグリーン)を精密に混ぜ合わせても、波長の完全な打ち消し合い(完全なニュートラルグレーや漆黒)には至りません。わずかに赤や黄の成分が透過・反射し、「赤みを帯びた暗褐色(茶色)」に着地するのはこのためです。
「赤と緑を混ぜると完全な黒になる」という言説は理論上の単純化されたモデルに過ぎず、物理的な絵の具を用いた現実世界では「彩度が極端に落ちた濃い茶色」になるのが正確な実態です。