子どもの足の発疹と激しい腹痛|ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の真相
子どもの足の発疹と激しい腹痛|ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の真相に関する最新のニュースを分かりやすく解説します。関心のある方は必見です。
ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の臨床現場において、患児と保護者を最も精神的に追い詰めるのが、周期的に襲い来る激烈な腹痛と、立ち上がることすら阻む関節痛です。小児科病棟の夜間に響き渡る患児の悲鳴は、決して単なる「お腹の風邪」のレベルではありません。
激しい腹痛のメカニズムは、消化管粘膜の細動脈で広範な血管炎が起き、腸管壁に重度の浮腫(むくみ)と微小梗塞、粘膜下出血が多発することに起因します。腸管の血流が途絶えかける虚血性の激痛に加え、局所的な血管炎によるむくみが腸の正常な蠕動運動を麻痺させます。最悪のケースでは、浮腫を起こして分厚くなった腸管が先進部となり、後続の腸管の中に吸い込まれるように入り込む「腸重積症」を併発します。腸重積を見逃せば短時間で腸管壊死や穿孔を引き起こし、緊急開腹手術を余儀なくされるため、頻回な嘔吐やイチゴジャム状の血便が見られた場合は1分を争う救急要請が必要です。
関節痛については、膝関節や足関節(くるぶし周辺)を中心に、患部が赤く腫れ上がり熱感を持ちます。関節の内部に直接細菌が侵入するわけではなく、関節包周囲の毛細血管炎に伴う漿液性関節周囲炎が原因です。関節破壊や骨の変形といった不可逆な後遺症を残すことは原則としてありませんが、発症初期にはあまりの激痛に足を床につけることすらできず、小児が完全な歩行不能に陥るケースが多々見られます。
こうした激しい腹痛や運動制限を伴う重度関節痛に対し、現場で極めて重要な役割を果たすのが副腎皮質ステロイド薬(プレドニゾロン等)の投与です。日本小児腎臓病学会などの治療ガイドラインにおいても、消化管出血や激しい疝痛発作、起立不能な関節炎に対しては、ステロイドの早期投与が強く推奨されています。ステロイドは血管壁の激しい炎症を速やかに沈静化させ、腸管浮腫を取り除くことで、腹痛発作の持続時間を劇的に短縮させます。
ただし、ここで専門医が口を揃えて強調する注意点があります。ステロイドは急性期の腹痛や関節痛を鎮静させる劇的な効果を持つ一方で、後述する「紫斑病性腎炎の発症そのものを予防する効果は持たない」という事実です。痛みが劇的に引いたからといって疾患そのものが根治したわけではなく、血管炎の火種は体内に残り続けていることを忘れてはなりません。