イニシエーション・ラブ最後の2行ネタバレ解説!二人のたっくんの真相

イニシエーション・ラブ最後の2行ネタバレ解説!二人のたっくんの真相の基本情報から最新動向までを一挙に解説しました。

『イニシエーション・ラブ』の文庫本巻末、物語を締めくくる最後の2行は以下の言葉で綴られています。

「あれ? 夕樹くんじゃない?」
美弥子の声に、男が振り返った。

この極めて平易な2行を目にした瞬間、それまで読者の頭の中で組み上げられていた恋愛ドラマの設計図は木っ端微塵に砕け散ります。この場面は、Side Bの主人公である鈴木和雅が、東京本社の洗練された同僚・石丸美弥子を連れて、クリスマスイブに静岡の「ホテルシティオ静岡」を訪れ、ロビーでチェックインを待っている瞬間です。そこで美弥子が偶然見かけた知人の男に声をかけ、男が振り向いたところで物語は唐突に幕を下ろします。

なぜこの2行が激震をもたらすのか。読者はSide Aで「奥手で冴えない大学生の鈴木夕樹が、合コンで出会った成岡成子(マユ)に恋をして自分を磨き、愛称『たっくん』と呼ばれるようになる過程」を読み、続くSide Bで「就職して静岡支社から東京本社へ栄転した鈴木(たっくん)が、マユと遠距離恋愛を続けるうちに美弥子へ心変わりしていく苦悩」を読まされてきました。つまり、「Side Aの太った夕樹が努力して洗練され、就職してSide Bの和雅になった」という単一の成長物語を信じ込まされていたのです。

しかし、美弥子が呼びかけた相手は「夕樹」でした。東京から来た美弥子の前に、Side Aの主人公である夕樹が、Side Bの現在の時間軸に「別の人間」として実在している。この事実が突きつける結論はただ一つです。Side Aの「たっくん(鈴木夕樹)」とSide Bの「たっくん(鈴木和雅)」は、最初から最後まで赤の他人であったということです。

さらに恐るべきは、物語の構成です。Side Aの後にSide Bが起きたのではなく、Side A(夕樹とマユの出会いと進展)とSide B(和雅とマユの破局、美弥子への乗り換え)は、1987年7月から12月にかけてのまったく同じ時間軸でパラレルに同時進行していたのです。マユは、東京へ転勤して心が離れていく和雅を繋ぎ止めようとしながら、同時に静岡の合コンで代打要員として現れた夕樹を捕まえ、第二の「たっくん」として手元で育成していました。最後のホテルのロビーで、美弥子を連れた和雅の目の前にいたのは、マユと腕を組んで歩く夕樹でした。四者の関係が交錯したこの一瞬によって、読者は自分が完璧に騙されていた現実に直面します。

斉藤 蓮

斉藤 蓮

デジタルマーケティングコンサルタント

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。

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