一富士二鷹三茄子の続きとは?四扇五煙草六座頭の意味と由来を解剖
一富士二鷹三茄子の続きとは?四扇五煙草六座頭の意味と由来を解剖の疑問点について、専門知識を詳しくお届けします。
伝承を深く掘り下げると、「四扇五煙草六座頭」のほかにもう一つの全く異なる後半フレーズが存在する。それが「四葬礼(しそうれい)、五雪隠(ごせっちん)」である。
葬礼とはすなわち葬式、雪隠とは便所(トイレ)を指す。新春のめでたい席で口にするには不謹慎に思えるこの言葉だが、ここには日本古来の「逆夢(さかゆめ)」信仰が色濃く反映されている。
夢の中で人が死ぬ、あるいは葬式に出る夢は、現実世界における「再生」や「古い自分の脱皮」「長寿」を暗示する大吉夢とされる。また、雪隠で排泄物にまみれる夢は、古来より「便=運(ウン)」の付着、すなわち莫大な財運・金運が舞い込む予兆として商人たちの間で最も珍重された。
表向きの吉祥品(扇や煙草)で明るく祝うルートと、一見忌まわしい不吉な夢を逆夢の論理で最高の吉兆へと昇華させる「四葬礼五雪隠」のルート。江戸の庶民は、どんな夢を見ても最終的に「めでたい」と笑い飛ばせる強靭な文化的セーフティネットを備えていたのである。
さらに、煙草の代わりに「五多宝(ごたほう)」と記す異伝も存在する。「多くの宝に恵まれる」という直接的な財運祈願であり、健康被害への意識が高まった後世の解釈や、寺社における縁起物札の配布において、煙草の字面を避けて選好された経緯が見て取れる。