奇跡のリンゴはなぜ腐らない?木村秋則氏の真実と現在に迫る
奇跡のリンゴはなぜ腐らない?木村秋則氏の真実と現在に迫るについて知っておくべき ポイントを厳選して解説いたします。
青森県弘前市のりんご農家に婿入りした木村秋則氏が、無謀とも言える無農薬栽培に足を踏み入れた背景には、妻の深刻な農薬アレルギーがありました。散布のたびに寝込む妻の姿を見て、「農薬を使わずにリンゴを実らせることはできないか」と思い立ち、福岡正信氏の著書『自然農法 わら一本の革命』に触発されて挑戦を開始します。
しかし、それは想像を絶する地獄の始まりでした。農薬の散布を停止した途端、園地は害虫の温床となり、葉は斑点落葉病で落ち尽くし、リンゴの木は一切花を咲かせなくなりました。周囲の農家からは「害虫をまき散らす裏切り者」と村八分同然の扱いを受け、収入は完全に途絶。トラクターを売り払い、一家は困窮を極めました。
挑戦から数年が経ち、心身ともに限界を迎えた木村氏は、ついに命を絶つ決意をして岩木山へ登ります。そこで目にしたのは、農薬も肥料も一切ない山奥で、害虫に負けず青々と生い茂る一本のドングリの木でした。足元の土を掘り返すと、ふかふかで温かく、豊かな土壌微生物の命に満ちていたのです。「リンゴの木ばかりを見て、木を支える土を見ていなかった」――この現場での痛烈な気づきが、雑草を生やして土壌環境を山林に近づける画期的な栽培メソッドの誕生へと繋がりました。