三相3線式とは?単相との違いと200Vの仕組み・動力契約の真相を解説
三相3線式とは?単相との違いと200Vの仕組み・動力契約の真相を解説とは一体何なのか? 専門的な分析を整理してお届けします。
電気工事の現場取材を重ねると、三相3線式ならではの特有なトラブルや、施工時に細心の注意を払わなければならない技術的ルールが浮かび上がってきます。その代表格が「モーターの逆回転」と「B種接地のアンバランス」です。
2本の線を入れ替えるだけでファンが吸気から排気に?逆回転の真相
工場の移転や設備の増設作業時、現場監督を青ざめさせるのが「新品のコンプレッサーを動かしたら圧力が上がらない」「排気ファンを回したはずなのに室内へ猛烈な逆風が吹き込んできた」という現象です。
三相3線モーター逆回転の理由は、三相交流の回転磁界のベクトル順序にあります。通常、R相→S相→T相の順に120度ずつ遅れてピーク電圧が到達することで、時計回りの回転磁界が生じます。しかし、結線時に3本のうちどれでも2本を入れ替えて接続(例:R相とT相を逆接続)すると、相の順番が反転(R→T→S)し、磁界の回転方向が物理的に真逆になります。
「熟練の電工職人は盤の結線後、機器のスイッチを即座に入れることは絶対にしません。必ず『検相器』と呼ばれる専用計測器を当て、回転方向(正相か逆相か)を視覚的にランプで確かめてからブレーカーを上げます。万が一逆回転のままポンプを空運転させれば、メカニカルシールが数秒で破損し、数十万円規模の損害賠償につながるからです」(都内電気設備会社・主任技術者の証言)
対地電圧がゼロ?三相3線式接地工事(B種接地)の特殊構造
三相3線式の配線図と接続方法を確認する際、保安上の要となるのが「接地(アース)」の取り扱いです。日本の内線規程および電気設備技術基準の解釈に基づき、電力会社が供給する低圧変圧器の2次側には「B種接地工事」が施されています。
日本の標準的な三相3線デルタ結線配電では、三相のうちの1相、通例として「S相(W相)」が変圧器内部で大地に接地されています。この結果、テスターで大地(アース)との間の電圧(対地電圧)を測ると、極めて特異な数値が現れます。
- R相と大地の間:約200V
- S相(接地相)と大地の間:ほぼ0V
- T相と大地の間:約200V
どの線間を測っても200Vであるにもかかわらず、対地電圧を測るとS相だけが0Vになるため、初心者は「S相の線が死んでいるのではないか」と錯覚します。しかしこれは変圧器の高低圧混触事故を防ぐための厳格な保安設計です。現場配線において接地されたS相をブレーカーの特定極に正しく合わせる施工が求められるのは、この対地電圧の偏りが漏電ブレーカーの作動や感電リスクに直結するためです。