看護の倫理原則とは?4つの原則と臨床の葛藤を解く実践ガイド
看護の倫理原則とは?4つの原則と臨床の葛藤を解く実践ガイドについて押さえておきたい 注意点を分かりやすい構成で解説いたします。
看護ケアにおける倫理的判断の国際的なスタンダードとして広く活用されているのが、生命倫理学者のトム・ビーチャムとジェームズ・チルドレスが提唱した「4つの原則」です。日々の看護業務において迷いが生じた際、自らのケアを多角的に点検するための重要なフレームワークとして機能します。
第1に「自律尊重の原則」が挙げられます。これは、意思決定能力のある患者が自らの価値観や信念に基づいて治療・療養方針を選択する権利を尊重する考え方です。看護の現場では、十分な情報提供に基づくインフォームドコンセントの保障や、患者自身の選択を後押しするケアがこれに該当します。
第2は「善行の原則」です。患者の健康状態を改善し、身体的・精神的な幸福(ウェルビーイング)をもたらす積極的な行動を指します。苦痛緩和のためのケア提供や、リハビリテーション意欲を引き出す関わりなど、現場で見られる多くの看護事例の根底にこの善行の精神が存在します。
第3に位置づけられるのが「無危害の原則」です。患者に対して不必要な苦痛や危険、身体的・心理的損害を与えないことを義務づけます。投薬事故の防止や転倒・転落リスクの低減、不要な身体拘束の回避など、看護師が安全管理を徹底する行為そのものが無危害の原則に基づいています。
第4の「正義の原則」は、医療や看護を差別なく公平・公正に分配することを求めています。社会的地位、人種、年齢、経済状況などによってケアの質を左右することなく、限られた病床やスタッフのリソースを客観的基準に基づいて適切に割り当てることが求められます。