急性大動脈解離の前兆とは?突然死を防ぐ初期症状と救命の分かれ道
急性大動脈解離の前兆とは?突然死を防ぐ初期症状と救命の分かれ道についての真相をお届けします。
「倒れる数日前から何か前兆があったのではないか」と探る声は後を絶ちません。しかし、結論から言えば、急性大動脈解離に特有のわかりやすい前兆はほとんど存在しません。狭心症のように「動いたときだけ胸が苦しくなり、休むと治まる」といった予兆的な段階を踏むことは極めて稀で、多くの場合は何の前触れもなく突然発症します。
大動脈の壁は、内膜・中膜・外膜の3層構造で成り立っています。このうち最も内側にある内膜に亀裂(エントリー)が入り、中膜のなかに高圧の血液が一気に流れ込んでバリバリと縦方向に裂けていく現象が「大動脈解離」です。血管壁が物理的に破綻する瞬間までは自覚症状がほぼ出ないため、大動脈解離は前触れなしの突然死を引き起こす代表的な疾患として恐れられています。
なお、似た血管の病気である「胸部・腹部大動脈瘤」の場合も、瘤(こぶ)が徐々に拡大する段階ではほぼ無症状です。破裂寸前に周囲の神経や臓器を圧迫して鈍痛が生じることもありますが、基本的には大動脈瘤破裂の前兆も自覚しにくく、定期的な健康診断や画像検査でしか事前に察知できません。つまり、「痛くなってから気づく」のがこの病気の恐ろしさの本質です。