2026年プリツカー賞受賞:建築家・井上綾子が提示する「呼吸する都市」と、コンクリート神話の終焉
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都心部の気温上昇が深刻な問題となる中、彼女が手がけた「グリーン・ラング(緑の肺)」プロジェクトは、渋谷の再開発エリアでその真価を発揮した。超高層ビルの外周を螺旋状に囲む巨大な空中庭園。単なる植栽ではない。地域の生態系を徹底的に調査し、在来種の植物や昆虫、鳥類が共生できる環境を人工的に再現したのだ。
結果は劇的だった。ビル周辺の平均気温は夏場に最大で3度低下し、エアコンによるエネルギー消費量は40%削減された。さらに、ビル内で働く人々のアブセンティズム(病気による欠勤率)が有意に低下したというデータも報告されている。コンクリートの檻に閉じ込められていた都市生活者たちに、土の匂いと風の音を取り戻した功績は計り知れない。