ベトちゃんドクちゃん奇跡の分離:家族と歩む現在と兄への誓い
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悲劇の背景にあったのは、かつて国土を焼き尽くしたベトナム戦争で米軍が散布したダイオキシン類による深刻な枯葉剤被害だった。1981年、ベトナム中部の高原地帯で誕生した兄のグエン・ベトさんと弟のグエン・ドクさんは、骨盤と下肢を共有する結合双生児だった。当時のベトナムは戦後の混乱と物資不足に苦しんでおり、高度な医療技術を要するふたりの命を救うことは絶望視されていた。
状況を劇的に変えたのが、日本からの迅速な支援の手だった。日本赤十字社を中心とする医療支援団の派遣や高度医療機器の供与、さらには一般市民による懸命な募金活動が大きなうねりを生み出す。そして1988年10月4日、ホーチミン市のツーズー病院において、日越合同の医師団が総力を結集した歴史的な結合双生児分離手術が敢行された。17時間を超える息詰まる大手術の末、ふたりの身体は無事に切り離され、医療ジャーナリズムの歴史に金字塔を打ち立てた。