秋ジャガイモでキタアカリは育つ?芽が出ない理由と秋植え成功の秘訣
秋ジャガイモでキタアカリは育つ?芽が出ない理由と秋植え成功の秘訣の真相や最新動向に迫る! わかりやすい言葉でまとめました。
家庭菜園の愛好家が秋作で最も直面しやすいトラブルが、植え付けから数週間経っても土から一向に芽が顔を出さない現象です。なぜキタアカリは秋に芽が出にくいのか。その根底には、ジャガイモが自らを守るために備えている「休眠」という生理現象が存在します。
植物ホルモンの働きにより、収穫直後の塊茎(芋)は一定期間、発芽が抑制される休眠状態に入ります。暖地での秋作向けに改良された品種(デジマやニシユタカなど)の休眠期間が30日〜40日程度と極めて短いのに対し、キタアカリは80日〜90日(約3ヶ月)もの長期にわたって深い休眠を維持します。6月に収穫された春作の芋を8月下旬や9月上旬に植え付けたとしても、芋の内部では発芽を促すジベレリンの分泌が抑制され、休眠を維持するアブシシン酸が優位なままです。
さらに、秋ジャガイモ栽培で失敗する原因に拍車をかけるのが、日本の晩夏の「地温の高さ」です。ジャガイモの発芽適温は15℃〜20℃とされ、地温が25℃以上に達すると発芽能力そのものが著しく低下します。休眠から覚めていない無防備な種芋が、30℃前後の蒸し風呂のような土壌に埋め込まれることで、呼吸過多に陥って酸素欠乏を起こし、土壌中の軟腐病菌(エルウィニア菌)などの標的となって溶けるように腐敗してしまうのです。「春と同じ感覚で植えたら全滅した」という証言の裏には、こうした過酷な生理的ミスマッチが存在します。