犬のペロペロが止まらない理由|病気やストレスを見抜く危険サイン
犬のペロペロが止まらない理由|病気やストレスを見抜く危険サインにまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。
身体的な痒みや内臓疾患が除外された場合、次に疑われるのが脳神経系および精神面の問題です。犬は極度の緊張や退屈、環境の激変に対して敏感であり、犬の典型的なストレスサインとしての行動が舐め行動として具現化します。
特に現代の都市部で飼育される家庭犬に蔓延しているのが、犬の分離不安に伴う症状です。飼い主の外出準備が始まると落ち着きを失い、留守番中や飼い主の帰宅直後に狂ったように手足や床をペロペロと舐め続ける個体が存在します。この行動は、孤立への耐えがたい恐怖心を鎮めるために行われる無意識の防衛規制です。
さらに進行すると、強迫性障害の一種である「常同障害」へ移行します。本来はストレス刺激があった時だけに現れていた舐め行動が、刺激がない平穏な状況下でも脳内の神経伝達物質(セロトニンやドーパミン)の不均衡によってスイッチが入り、自傷行為(舐め壊し)へと直結します。前肢の特定部位を舐め続け、皮膚に潰瘍や硬化を生じさせる「肢端舐性皮膚炎(したんしせいひふえん)」は、常同障害の代表的な病変です。
また、シニア期(小型犬で11歳前後、大型犬で8歳前後以降)に突入した愛犬については、犬の認知症や常同障害の鑑別が極めて重要となります。認知機能不全症候群(CDS)を発症した犬は、空間認知能力の低下や不安感の増大から、壁や床の同一箇所を何時間も虚ろな表情で舐め続けたり、呼びかけに対する反応が極端に鈍化したりします。これを単なる「高齢化による頑固さ」と放置すると、生活リズムの完全な破綻を招く恐れがあります。