80年代を彩ったハウスマヌカンとは?語源とブームの真実

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1981年、パリコレで発表された川久保玲の「コム デ ギャルソン(COMME des GARÇONS)」と山本耀司の「ヨウジヤマモト(Yohji Yamamoto)」によるコレクションは、当時タブーとされていた黒を基調とし、穴あきや左右非対称のシルエットを取り入れた前衛的なデザインで世界に衝撃を与えました。いわゆる「黒の衝撃」です。

この衝撃波は日本国内の若者カルチャーを一変させました。従来の華やかでコンサバティブなファッションに対抗するように、全身を黒で固めた「カラス族」と呼ばれる若者たちが原宿や渋谷の街を埋め尽くします。BIGI、MEN'S BIGI、ニコル、MILK、PERSON'S、BA-TSUといった国内DCブランドが次々と台頭し、ファッションビル(パルコ、ラフォーレ原宿、丸井など)は連日、新作やバーゲンを求める若者で長蛇の列を作りました。

この狂騒の中心にいたのが、各ブランドの旗艦店やテナントを仕切るハウスマヌカンたちです。彼女たちのビジュアルは、当時の一般的な女性像を根底から覆すものでした。

  • メイクの特徴:陶器のような白い肌に、くっきりと太く描かれた漆黒の眉、モード感を際立たせる真紅やダークトーンのリップ、目元を強調する鋭いアイライン。
  • ヘアスタイルと服装:アシンメトリーな刈り上げボブ、ワンレングス、重めの前髪。全身をオーバーサイズの黒やダークネイビーのレイヤードで包み込み、身体のラインをあえて隠す構築的なシルエット。
  • 接客スタイル:過剰なお辞儀やへりくだった営業トークは一切行わず、気だるげで凛とした立ち振る舞い。客に迎合しない「媚びない接客」そのものが、ブランドの崇高さを演出していました。

当時の若者にとって、ハウスマヌカンから服を買う行為は、単なる衣類の購入ではなく「感度の高い特別なコミュニティへの所属を許される儀式」に等しい体験だったのです。

加藤 愛美

加藤 愛美

エンタメ専門ジャーナリスト

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。

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