映画『ある男』結末の真相と本名|ラストシーンが示す戦慄の意図

映画『ある男』結末の真相と本名|ラストシーンが示す戦慄の意図の全貌を丁寧に掘り下げてご紹介します。

本作のミステリー構造を重層的なものにしているのが、単なる1対1の成り代わりではなく、複数人が絡み合った戸籍の多重交換が行われていた点です。調査を進める城戸が直面した驚愕のルートは、以下のようなステップで成立していました。

まず、小林誠は群馬県出身の「曽根崎大祐」という男と戸籍を交換しました。この段階で誠は「曽根崎大祐」の戸籍を手に入れます。しかし、誠が里枝の元へ現れたときの名前は「谷口大祐」でした。ここにもう一段階の交換が存在していたのです。

伊香保温泉の老舗旅館の次男として生まれながら、複雑な家庭環境や確執から生家と縁を切りたがっていた本物の谷口大祐(仲野太賀)が、自分の身元を売りに出していました。本物の谷口大祐は「曽根崎大祐」の戸籍を買い取り、姿を消します。そして小林誠の手元に、最終的に「谷口大祐」の戸籍が渡ることになりました。

誠は「谷口大祐」として宮崎へ流れ着き、そこで里枝と出会いました。過去を抹消した誠にとって、木刀を削り絵を描く静かな日々、そして里枝や彼女の連れ子と過ごした時間は、人生で初めて手に入れた「自分を許せる幸福」そのものでした。名前を偽っていたことは法的に重大な違法行為ですが、彼が里枝たちに注いだ愛情には一片の偽りもなかったことが、物語の切なさを際立たせています。

山下 哲也

山下 哲也

自動車・モビリティライター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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