紫を「ゆかり」と呼ぶ理由は?古今和歌集とふりかけ命名の真相を解明

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古典文学の雅やかな世界にとどまっていた「紫とゆかり」の結びつきを、日本全国の食卓へ決定的に定着させた立役者こそ、広島県に本社を置く三島食品株式会社です。同社を代表するロングセラー商品「ゆかり」は、昭和45年(1970年)に誕生しました。

取材・公式記録によると、当時ふりかけといえば魚介類や海苔が主流であり、赤しそを使った乾燥ふりかけは業界初となる画期的な挑戦でした。開発過程において、原料となる赤しその葉を梅酢で丁寧に漬け込むことで生み出される鮮やかな赤紫色の美しさに着目した創業者の三島哲男氏は、商品の命ともいえるネーミングに強いこだわりを見せました。

同社の社内史および公式発表資料によると、命名には明確な三つの理由が込められていました。

  • 日本の伝統的な色意識:古今和歌集に由来する「紫のゆかり」という雅やかな伝統色のイメージを、赤しその美しい発色に重ね合わせたこと。
  • 消費者との「ご縁」:「縁(ゆかり)ある人を愛おしむ」という歌の心に基づき、商品を手に取ってくれる生活者との末永いご縁を結びたいという祈念。
  • 流通・現場への配慮:当時、学校給食や業務用市場の拡大期において、女性栄養士や調理現場の担当者に親しみやすく、呼びやすい3文字のひらがなを採用したこと。

赤しそ自体は植物学的にはシソ科の一年草であり、本来の紫草(ムラサキ科)とはまったく異なる品種です。しかし、日本の色彩文化と顧客への感謝を込めたこの秀逸な命名は、発売直後から大きな支持を集めました。その圧倒的な普及によって、昭和から平成、令和に至るまで、日本人の潜在意識に「紫色=ゆかり」という直感的なイメージを刻み込む最大の契機となったのです。

山下 哲也

山下 哲也

自動車・モビリティライター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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