ワンハリ解説!衝撃の結末はなぜ?史実との違いとタランティーノの真意
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本作の公開時、世界的な波紋を呼んだのがブルース・リー描写の評判と論争です。劇中の回想シーンにおいて、ブルース・リー(マイク・モー)は撮影現場で「カシアス・クレイ(モハメド・アリ)でも俺には勝てない」と大言壮語を吐き、それに異を唱えたクリフと3本勝負の私闘を繰り広げます。1本目はリーが華麗な蹴りでクリフを吹き飛ばすものの、2本目ではクリフがリーを掴んでスタントコーディネーターの妻の車に思い切り叩きつけ、車体を大きく凹ませます。
この描写に対し、ブルース・リーの実娘であるシャノン・リーは「父が尊大なピエロのように描かれている」と公式に抗議し、中国本土での劇場公開が事実上中止に追い込まれる事態に発展しました。ネット上でも「アジア人差別ではないか」「実在のレジェンドを貶めている」といった批判が一部で巻き起こりました。
しかし、このシーンには映画演出上の重要な文脈が存在します。タランティーノ監督は後の記者会見で「ブルース・リーは実際に傲慢な一面も持っていたし、スタントマンたちを実際に蹴って怪我をさせていたという複数の証言がある」と反論しつつ、最大のポイントは「あの回想はあくまでクリフ自身の主観的な記憶である」という構造を提示しました。第二次世界大戦で人を殺めた経験を持つ百戦錬磨のクリフが、いかに素手での戦闘において規格外の強さを持っているかを観客に納得させるための周到な伏線であり、ラストシーンで狂信者たちを圧倒するための説得力を持たせる仕掛けだったのです。