岡本太郎絶賛の万治の石仏|首伸びの真相と願いを叶える参拝作法

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万治の石仏が放つ独特の存在感は、その誕生にまつわる奇妙な伝承と切り離せません。下諏訪町教育委員会に残る公的記録や現地に伝わる縁起によると、時計の針は江戸時代初期の万治3年(1660年)にまで遡ります。

当時、信濃高島藩主が諏訪大社下社春宮に壮麗な大鳥居を寄進することを決め、腕利きの石工に命じて砥川のほとりにあった巨大な自然石を加工させようとしました。ところが、石工がタガネとノミを振り下ろした瞬間、割れ目から真っ赤な血がドクドクと流れ出たといいます。戦慄した石工は祟りを恐れて即座に作業を放棄しました。その後、石工の夢枕に阿弥陀如来が現れ、石を粗末に扱ったことを悔いた石工は、その巨石自体に阿弥陀如来の姿を彫り刻んで供養したとされています。胸元に刻まれた「万治三年十一月一日 願主 明誉浄光」の銘文こそ、この血を流した伝説を今に伝える動かぬ証拠です。

一方で、現代の参拝者を震撼させたのが「首が伸びた理由」をめぐる騒動です。2008年頃、地元有志や参拝者から「以前よりも石仏の首が不自然に伸びているのではないか」という指摘が相次ぎました。心霊現象や新たな怪奇現象かとネット上でも騒乱が巻き起こりましたが、下諏訪町が専門家を交えて調査を実施した結果、極めて科学的な理由が判明しました。

頭部と胴体の接合部に微細な隙間が生じ、そこに浸入した雨水が厳冬期に凍結・融解を繰り返す「凍上(とうじょう)現象」が発生していたのです。氷の膨張圧によって重さ数トンにも及ぶ石仏の頭部が年々ミリ単位で押し上げられ、最大で約6.5センチメートルも浮き上がっていたことが精密計測によって立証されました。地震による落下の危険性もあったため、下諏訪町は2009年に大規模な修復工事を実施。内部に免震ダンパーを組み込み、耐震補強を施して元の位置へと安全に据え直されました。怪異の噂の裏側には、信州諏訪の過酷な寒冷地特有の自然現象が潜んでいたわけです。

山本 拓海

山本 拓海

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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