未開封の日本酒に賞味期限がない理由|10年前でも飲めるかの真実

未開封の日本酒に賞味期限がない理由|10年前でも飲めるかの真実の見逃せないポイントを一挙に解説しました。

蔵や納戸の奥から発掘された「10年前」「20年前」の未開封ボトルは果たして飲めるのか。醸造科学的な結論から言えば、「未開封で直射日光を避けていたなら、飲んでも腹を壊す危険はほぼないが、元の味とは全く別物に変貌している」というのが偽らざる真実です。

多くの人が抱く「日本酒が腐るのかという真相」について、生物学的な「腐敗」は起こり得ません。タンパク質が細菌によって分解され有毒物質を発生させるプロセスは、日本酒の高アルコール環境下では進行しないためです。しかし、腐らないことと「美味しく飲めること」は全く別の次元に存在します。

長期保存された日本酒の内部では、酒に含まれる糖分とアミノ酸が時間をかけて結合する「メイラード反応」が静かに進行します。無色透明だった液体は淡い黄金色から琥珀色、さらにはウーロン茶のような褐色へと移り変わり、香りはドライフルーツやナッツ、シェリー酒のようなカラメル香を帯びます。これを「熟成酒(古酒)」として愛好するか、「劣化した古酒」として拒絶するかは、保管状態と飲む人の嗜好によって真っ二つに分かれます。

ただし、唯一の例外として警戒すべきなのが「火落ち菌(ひおちきん)」と呼ばれるアルコール耐性乳酸菌の存在です。製造工程での殺菌が不十分だったり、栓の隙間から微細な隙間を通って火落ち菌が侵入・増殖すると、酒は白く濁り、ツンとした刺激臭と強烈な酸味を放つ「火落ち(酸敗)」を引き起こします。火落ちした酒は毒性こそないものの、舌を刺す不快感から飲用に耐えません。

木村 陽翔

木村 陽翔

テックライター兼ウェブディレクター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

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