狭心症の心電図で異常なしのなぜ?見逃し防ぐ最新検査と波形の真相
狭心症の心電図で異常なしのなぜ?見逃し防ぐ最新検査と波形の真相とはどんな影響があるのか? 主要なファクトを簡潔に解説します。
一口に狭心症と言っても、血管が細くなる病態によって心電図に現れる波形は大きく異なります。その代表例が、動脈硬化プラークによる物理的狭窄が原因の「労作性狭心症」と、血管自体が痙攣(スパズム)を起こして急激に収縮する「冠攣縮性(かんれんしゅくせい)狭心症」の差異です。
夜間や早朝の安静時、あるいは飲酒後や喫煙直後に発症しやすい冠攣縮性狭心症では、冠動脈が一過性に完全閉塞に近い状態へ追い込まれます。このとき生じるのは、心筋の内側だけでなく外側まで及ぶ「全層性虚血」です。その結果、通常の狭心症とは正反対に、心筋梗塞発症時と同様の「ST上昇」が記録されるという特異な特徴を持ちます。
ここで極めて重要になるのが、冠攣縮性狭心症と「急性心筋梗塞」の判別基準です。両者の境界線は、心筋細胞の不可逆的な死(壊死)が起きているかどうかに集約されます。
冠攣縮性狭心症の場合、攣縮が解ければ数分から十数分で血流が再開し、STの上昇は速やかに基線へと復帰します。心筋の壊死は起こらないため、心筋細胞の脱落を示す「異常Q波(幅広く深いQ波)」は生じず、心筋逸脱酵素(トロポニンなど)の血液中への流出も伴いません。対照的に、心筋梗塞では血流途絶が持続して心筋細胞が壊死するため、ST上昇に引き続いて異常Q波が出現し、その後深い陰性T波へと推移する「不可逆的な波形の固定化」が起こります。