三角関数の合成公式でなぜ迷う?つまずく理由と加法定理の裏ワザ徹底解明
三角関数の合成公式でなぜ迷う?つまずく理由と加法定理の裏ワザ徹底解明についての真相をお届けします。
合成公式が真に威力を発揮するのは、最大値・最小値を求める応用問題です。ここでは、共通テストや定期試験で頻出する実践的な問題をステップ形式で解剖します。
【典型実践問題】
$0 \le \theta \le \pi$ のとき、関数 $y = \sin\theta + \sqrt{3}\cos\theta$ の最大値、最小値、およびそのときの $\theta$ の値を求めよ。
ステップ1:点$(a, b)$をプロットして一瞬で合成する
$\sin\theta$ の係数は $1$、$\cos\theta$ の係数は $\sqrt{3}$ です。したがって、座標平面上に点$P(1, \sqrt{3})$をとります。
- 線分の長さ: $R = \sqrt{1^2 + (\sqrt{3})^2} = \sqrt{4} = 2$
- なす角: 辺の比が $1 : \sqrt{3} : 2$ の有名角直角三角形なので、$\alpha = \frac{\pi}{3}$
これにより、関数は $y = 2\sin(\theta + \frac{\pi}{3})$ と瞬時に変形されます。
ステップ2:角$(\theta + \alpha)$の変域を厳密に可視化する(最重要)
ここで多くの人が「$\sin$だから最大値は$1$、最小値は$-1$」と先走って誤答します。必ず与えられた $\theta$ の定義域に $\frac{\pi}{3}$ を足した「塊(かたまり)の変域」を書き出さなければなりません。
$0 \le \theta \le \pi$ より、各辺に $\frac{\pi}{3}$ を加えて
$\frac{\pi}{3} \le \theta + \frac{\pi}{3} \le \frac{4}{3}\pi$
ステップ3:単位円で動径の回転範囲を確認し、最大・最小を判定する
頭の中、あるいは余白に単位円を描き、動径が $\frac{\pi}{3}$($60^\circ$)からスタートして $\frac{4}{3}\pi$($240^\circ$)まで回転する扇形をイメージします。
- 最大値の判定:動径が真上($y$軸正の方向=$\frac{\pi}{2}$)を通過できるかを確認します。$\frac{\pi}{3} \le \frac{\pi}{2} \le \frac{4}{3}\pi$ なので通過可能です。したがって、$\sin(\theta + \frac{\pi}{3})$ は最大値 $1$ をとります。
このとき、$\theta + \frac{\pi}{3} = \frac{\pi}{2} \implies \theta = \frac{\pi}{6}$ - 最小値の判定:動径が最も下に行くのは、回転の終点である $\frac{4}{3}\pi$ です($\frac{3}{2}\pi$ までは到達しない点に注目!)。
$\sin(\frac{4}{3}\pi) = -\frac{\sqrt{3}}{2}$ なので、このとき最小値をとります。
このとき、$\theta + \frac{\pi}{3} = \frac{4}{3}\pi \implies \theta = \pi$
ステップ4:最終的な関数の値(振幅を掛ける)を算出する
先頭の係数 $2$ を掛けて結論をまとめます。
- $\theta = \frac{\pi}{6}$ のとき、最大値 $2 \times 1 = 2$
- $\theta = \pi$ のとき、最小値 $2 \times \left(-\frac{\sqrt{3}}{2}\right) = -\sqrt{3}$
このように、「塊の変域」を図示するルーティンさえ確立していれば、共通テストの複雑な誘導に乗っても満点を確実に奪取できます。