オオナメクジの正体と危険性|生態から感染症対策まで徹底解説
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「ナメクジには猛毒がある」「触ると死に至る」といった言説がインターネット上を中心に飛び交っていますが、生物学的なナメクジの毒性の真相を検証すると、ナメクジ自身が体内や分泌液にヘビやハチのような化学毒(毒素)を持っているわけではありません。しかし、「触ると極めて危険」とされる警告は医学的に完全な事実であり、決して誇張ではありません。その元凶が、ナメクジを中間宿主とする寄生虫広東住血線虫(カントンじゅうけつせんちゅう)の存在です。
広東住血線虫は本来、ネズミの肺動脈に寄生する線虫です。ネズミの糞とともに排出された第1期幼虫をナメクジやカタツムリが摂取することで体内で第3期幼虫へと発育します。この幼虫を宿したナメクジを誤食したり、幼虫が含まれる粘液が付着した手で口元や食材に触れたりすることで、終宿主ではない人間に感染(偶発感染)する経路をたどります。
体内に入り込んだ幼虫は消化管から血流に乗り、中枢神経系へと移行します。発症した場合の広東住血線虫の症状は劇烈です。2週間前後の潜伏期間を経て、激しい頭痛、発熱、嘔気、首の硬直(項部硬直)といった好酸球性髄膜脳炎の兆候が現れます。重症化すると視神経麻痺、知覚異常、痙攣を引き起こし、昏睡状態に陥って死亡するケースや、重篤な神経学的後遺症が残る事例が国内外の医学論文で報告されています。
もし野外や家庭菜園でオオナメクジに触れてしまった場合、あるいは子どもが誤って素手で掴んでしまった場合のナメクジを触ったときの対処法は、初動の徹底的な洗浄に尽きます。アルコール除菌スプレーだけでは寄生虫幼虫を物理的に落としきれない恐れがあるため、ただちに流水と固形石鹸を使用し、指先や爪の間まで数分間かけて入念に泡立てて洗い流すことが絶対条件です。粘液が肌に残っている感覚がある場合は、乾いたペーパータオルで強く拭き取った後に再度洗浄してください。その後、万が一発熱や頭痛などの異変が生じた場合は、即座に感染症内科や総合病院を受診し、「ナメクジに素手で触れた」旨を医師に明確に伝達する必要があります。