動いて見える画像の仕組みとは?ストレス診断の嘘と脳の錯覚を検証
動いて見える画像の仕組みとは?ストレス診断の嘘と脳の錯覚を検証の具体的な内容に迫る! 専門的な視点でまとめました。
印刷された紙面やスマートフォンの画面に表示された静止画が、なぜ動画のように蠢いて見えるのか。その答えは、眼球から入った視覚情報を処理する脳の視覚野(特にV1野からMT野/V5野と呼ばれる運動知覚領域)の誤認にあります。
人間が物体を見るとき、網膜に映った光の刺激は電気信号に変換され、脳の後頭部にある一次視覚野へ送られます。このとき、脳は視野全体の情報を一瞬で均一に処理しているわけではありません。視覚科学の実験データによると、明暗のコントラストが高い部分は約数十ミリ秒早く処理され、コントラストが低い部分の処理にはわずかな遅延が生じます。
動く錯視の代表格として世界的に知られるのが、立命館大学総合心理学部の北岡明佳(きたおか・あきよし)教授が2003年に発表した「蛇の回転(Rotating Snakes)」です。この作品に代表される「最適化型周辺ドリフト錯視」は、以下の4つの要素が規則正しく並ぶことで成立しています。
- 「黒」→「濃い灰色」→「白」→「薄い灰色」という特定の明暗グラデーションの配列
- 無意識に生じる微小眼球運動(マイクロサッカード)による視点のわずかな揺れ
- 網膜の周辺視野における輝度信号の時間差処理
- 脳の運動検出ニューロンが「暗い側から明るい側へ位置が変化した」と解釈する信号エラー
つまり、動いて見える画像は網膜や脳の欠陥によって起きるのではなく、網膜が受け取った膨大な視覚情報を瞬時に統合・補正しようとする「脳の高度な情報処理機能が引き起こす必然的なバグ」といえます。