エヴァ名言「逃げちゃダメだ」の真相|碇シンジの呪縛と新劇場版の救済
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テレビシリーズ第1話「使徒、襲来」の終盤、視聴者の度肝を抜いたのがエヴァンゲリオン初号機起動シーンでした。父・碇ゲンドウから3年ぶりに呼び出されたシンジを待っていたのは、ねぎらいの言葉ではなく、「乗るなら早くしろ、でなければ帰れ」という冷酷な命令でした。何の説明も訓練もないまま、巨大な正体不明の敵「使徒」との命懸けの戦闘を強要される理不尽に、シンジは「無理だよ、そんなの乗れるわけないよ!」と当然の拒絶を示します。
事態が急転したのは、身代わりとして担架で運ばれてきた綾波レイの姿を目にした瞬間です。全身に包帯を巻かれ、苦痛に呻く同年代の少女を見殺しにはできないという極限の良心と道義的プレッシャー。逃げ出したい本能と他者を見捨てる罪悪感の板挟みになったシンジは、拳を固く握りしめ、小刻みに震えながらあの言葉を呟き始めます。
「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ――やります。僕が乗ります!」
本編で確認すると、シンジは計5回このフレーズを繰り返しています。これは勇猛果敢なヒーローの名乗りなどではなく、恐怖で今にも崩壊しそうな精神を力づくで繋ぎ止めるための、あまりにも痛々しい自己暗示でした。ロボットアニメの主人公が「乗りたくない」と泣き叫び、自己強迫によってようやく立ち上がる姿は、従来の熱血主人公像を完全に解体し、第1話にしてエヴァンゲリオンという作品の特異性を決定づけました。