本場ベトナムフォーの真実|ハノイと南部の決定的な違いと極上レシピ
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ベトナム料理の取材を重ねる中で、現地の料理人たちが口を揃えて強調するのがハノイとホーチミンのフォーの違いです。1954年のジュネーブ協定に伴う南北分断の歴史が、この一杯の丼の中に明確な味覚の境界線を生み出しました。
フォー発祥の地とされる北部ハノイのフォーは、一言で表せば「引き算の美学」です。牛骨を香味野菜とともにじっくりとアクを取りながら煮出したスープは、琥珀色に透き通り、雑味が一切ありません。麺は平たく幅広なライスヌードル(米粉麺)を用い、具材は牛肉(フォーボー)または鶏肉(フォーガー)と青ネギ、ごく少量のパクチー程度に絞られます。ライムではなく酢漬けニンニク(ザムオイ)を垂らし、スープ本来の繊細な出汁の深みを味わうのが北部の絶対的な流儀です。
対照的に、南部ホーチミンのフォーは「足し算の豊穣さ」を誇ります。メコンデルタの豊かな農産物に恵まれた南部では、スープに砂糖やスパイス(八角、クローブ、シナモン、カルダモン)を効かせ、甘みとコクを際立たせます。さらに別皿で山盛りのパクチー・香草トッピング(ノコギリコリアンダー、タイバジル、ミントなど)と生モヤシが提供され、客自らが丼にちぎり入れます。仕上げに黒味噌(トゥオンデン=甘味噌)やシラチャーソース(チリソース)を直接スープに回し入れ、力強いジャンクな旨味を楽しむのが南部スタイルです。