手話の50音はなぜすぐ覚えられる?指文字の由来と挫折しない練習法
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手話の五十音(指文字)の学習を始めたばかりの人が「覚えるのが大変だ」と挫折してしまう最大の原因は、無味乾燥な記号の羅列として暗記しようとしている点にあります。しかし、大正時代から昭和初期にかけて大曽根源助氏らが体系化し、全日本ろうあ連盟が普及させてきた日本の指文字には、極めて合理的で直感的な「形の由来」が存在します。
指文字の形状は、大きく分けて以下の4つのルーツに分類されます。この視覚的ルールを知るだけで、脳内での情報処理負担は劇的に軽減されます。
① カタカナの形や筆順をそのまま模したもの
例えば「イ」は人差し指と中指でカタカナの「イ」の旁(つくり)の払いを表し、「エ」は親指と人差し指、中指を横に突き出してカタカナの「エ」の横棒3本を表現します。「ス」は人差し指を下に向けて数字の「ス」の終筆をなぞる動きであり、「テ」は手のひらを相手に向けて手首から指先全体で「手」そのもの、あるいは「ト」は人差し指と中指で直角を作ってカタカナの「ト」を再現します。
② ローマ字(ヘボン式アルファベット)の形状を取り入れたもの
世界共通のアメリカ手話(ASL)由来の指文字を取り入れたグループです。「あ」はアルファベットの「a」を表す握り拳、「か」は指を2本交差させて「k」の形を作ります。「さ」は「s」、「た」は「t」、「な」は「n」、「は」は「h」、「ま」は指3本を下に向けて「m」、「や」は親指と小指を立てて「y」、「ら」は指を交差させて「r」、「わ」は指3本を立てて「w」を表します。英語教育を受けた世代であれば、母音と子音の組み合わせとして即座に頭へ定着します。
③ 数字や漢数字を象形化したもの
「に」は指を2本立てて漢数字の「二」を表し、「せ」は人差し指・中指・薬指の3本指を横に広げて「千」の形を模します。「ろ」は親指と人差し指を丸めて数字の「6(六)」をなぞるように作られます。
このように、すべての指の形には「なぜその形になったのか」という視覚的必然性があります。手話50音覚え方のコツとは、手話指文字一覧表をただ眺めることではなく、自分の指でその文字の「由来」を辿り直す作業に他なりません。