かぐや姫の物語|帝のアゴ角度とバックハグの真相!高畑演出を解剖

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ジブリ版の帝をこれほどまでに記憶に残るキャラクターへと昇華させた最大の功労者が、声を担当した歌舞伎俳優の中村七之助(二代目)氏です。スタジオジブリの制作現場では、作画を行う前に役者の音声を先に収録する「プレスコ(プレレコーディング)」方式が採用されました。

当時の制作ドキュメンタリーやインタビュー記録によると、高畑監督が七之助氏に求めたのは「決して下品にならず、育ちの良さと絶対的な気品を持ちながら、自分の魅力と権力を1ミリも疑っていない男」という極めて難度の高い演技でした。七之助氏は歌舞伎の舞台で培った圧倒的な発声と独特のイントネーションを駆使し、甘美でありながら背筋が凍るような独善性を見事に表現しました。

「そなたのような女子(おなご)を見るのは初めてだ」「私を拒む者などこの世におらぬ」といったセリフの端々に漂うのは、他者の感情を思いやる能力が完全に欠落した、純粋培養の自己愛です。声の品格が高ければ高いほど、その内面にある傲慢さが際立つという、見事な演出の勝利がここにあります。

中川 明日香

中川 明日香

ビジネス戦略アナリスト

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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