ステーキいわたきの閉店理由と現在|激減した元祖サラダバーの深層

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ステーキいわたきの歩みを語るうえで絶対に外せないのが、外食産業の風雲児と呼ばれた井戸実氏率いる「ステーキハンバーグ&サラダバー けん(株式会社エムグラントフードサービス)」との数奇な関係性です。多くの人が「いわたきがけんを真似た」と誤認していますが、歴史的な事実はその正反対にあります。

エムグラントフードサービスの創業者である井戸実氏は、自著や当時のメディアインタビューにおいて、「いわたき」の提供していた『ステーキ+サラダバー・カレー・ライス食べ放題』というビジネスモデルに衝撃を受け、それをロードサイドの居抜き店舗で再現したのが「ステーキけん」の始まりであったと公言しています。他チェーンの撤退跡地を低コストで再生させる居抜き戦略と、いわたきのモデルを掛け合わせた「けん」は、2000年代後半から爆発的な出店攻勢をかけ、一時は全国200店舗を超える一大勢力へと登り詰めました。

そして2008年、エムグラントフードサービスは自らの原点でもあった「有限会社いわたき」を電撃的に買収し、子会社化します。この買収劇により、いわたきの一部店舗は「ステーキけん」へと業態転換され、残された店舗もエムグラントグループの傘下として統一的な資材調達や運営方針のもとに再編されました。当時はグループ全体で莫大なスケールメリットを発揮し、両ブランドの共存共栄が図られるかに見えました。

しかし、2010年代半ばから「いきなり!ステーキ」をはじめとする新たな競合の台頭や、急速な多店舗展開に伴うサービス品質のバラつきが生じ、グループの経営は急転直下で悪化します。最終的にエムグラントフードサービスは2019年に民事再生法の適用を申請し、翌2020年に破産へと至りました。この親会社の激震に伴い、多くの店舗が連鎖するように姿を消していきました。その混乱のなかで、フランチャイズとして独自の店舗管理を徹底していたオーナーや、地元の熱烈な支持に支えられた個別の店舗だけが、奇跡的に看板を守り抜いたのです。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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