宇宙飛行士の死亡事故と遺体の行方|Nasaプロトコルと歴史の真実
宇宙飛行士の死亡事故と遺体の行方|Nasaプロトコルと歴史の真実の基本情報から最新動向までを徹底的にカバーしました。
もし国際宇宙ステーション(ISS)や将来の火星探査ミッションの途上、あるいは船外活動(EVA)中に宇宙飛行士が死亡した場合、遺体はどのように扱われるのでしょうか。映画などで描かれる「エアロックから宇宙空間へ放出し、永遠の眠りにつかせる」という埋葬シーンは、現実の宇宙開発では国際法規および宇宙条約により明確に禁止されています。
宇宙空間へ生体物質や物体を野放しに遺棄することは、秒速数キロで軌道を周回する危険な「スペースデブリ(宇宙ゴミ)」を増やす行為であり、他国の衛星や宇宙船への衝突リスクを激増させます。さらに、地球由来の微生物による宇宙環境の汚染を防ぐ「惑星保護方針(Planetary Protection)」の観点からも、遺体の宇宙投棄は絶対に認められません。
ISS(国際宇宙ステーション)における即時対応プロトコル
ISS内で乗組員の心肺停止が発生した場合、まずは船内に常備されているAED(自動体外式除細動器)や救急医薬品を用いた蘇生処置が最優先で行われます。地上に常駐するフライトサージャン(航空宇宙医学専門医)の遠隔指示のもとで死亡が確定した場合、現在の運用ルールでは「速やかな密閉保管と地球への移送」が基本原則です。
ISSには火葬設備や専用の遺体安置室は存在しません。そのため、遺体は特殊な気密ボディバッグに収められ、腐敗臭や体液の漏出を防ぐため船内の最も温度が低い区画(低温実験用フリーザー、または非居住モジュール)に隔離されます。現在ISSへ接続しているSpaceXのクルードラゴンやロシアのソユーズなどの帰還船を用いれば、最短で数時間から数日以内に地球上へ遺体を搬送し、遺族のもとへ帰還させることが可能です。
火星探査ミッションを見据えた「プロメッサ計画(Body Back)」
地球への即時帰還に数カ月から数年を要する火星探査などの深宇宙ミッションでは、遺体を長期間船内に保管し続けることが衛生面・心理面で極めて深刻な課題となります。そこでNASAがスウェーデンの環境技術企業と共同で研究を進めたのが、「プロメッサ・システム(Promessa / Body Back)」と呼ばれる遺体処理プロトコルです。
この計画では、遺体を特殊なゴアテックス製バッグに収め、宇宙船の外壁(ロボットアームの先端など)に固定して宇宙空間の極低温環境(約マイナス200度)に約1時間晒します。遺体が完全に凍結してカチカチになった段階で、ロボットアームが高速振動を加えて遺体を粉砕。水分が真空中に昇華することで、最終的に遺体は約20〜30キログラム前後の乾燥した微粉末へと変化します。容積を大幅に減らした清潔なパウダー状の状態で船内に保管し、地球帰還時に遺族へ手渡すという極めて合理的かつ科学的なアプローチが検討されています。