黄泉戸喫とは?死者の国の掟と二度と現世へ戻れない戦慄の理由に迫る

黄泉戸喫とは?死者の国の掟と二度と現世へ戻れない戦慄の理由に迫るについて見逃せない ポイントを厳選して解説いたします。

極めて興味深いことに、この「死者の国の食べ物を口にすると戻れない」という神話類型は、日本独自のものではありません。海を越えたユーラシア大陸の西端、ギリシャ神話にも驚くほど瓜二つの物語が存在します。

冥界の神ハデスに冥府へと連れ去られた春と豊穣の女神ペルセポネの神話です。娘を奪われた母デメテルが地上を飢餓に陥れたため、最高神ゼウスはハデスに娘を地上へ返すよう命じます。しかし、ハデスは策略を用い、ペルセポネに冥界の柘榴(ザクロ)の実を差し出しました。彼女がその実をわずか数粒口にしてしまったがために、完全に地上へ帰還することが不可能となってしまったのです。

最終的にペルセポネは、食べたザクロの数に応じて1年のうち数カ月間を死者の支配する冥界で過ごす定めを背負い、母デメテルの悲しみによって地上に「冬」という季節が誕生したと語られます。

極東の島国である古代日本と、地中海の古代ギリシャ。接触のないはずの双方が、なぜこれほど一致した禁忌の構造を持っているのか。比較文化論においては、「他界との境界線を越え、その土地の食物を受け入れることは、完全な屈服と帰属を意味する」という、人類共通の無意識的な恐怖が生み出した普遍的なメンタリティであると分析されています。

中村 さくら

中村 さくら

マネー&キャリアエディター

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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