プロが教える本場ベトナムフォー南北の違いと絶品レシピ完全版
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フォーの専門店に足を踏み入れると、必ず選択を迫られるのが「牛」か「鶏」かという二者択一です。このフォー・ボーとフォー・ガーの違いを正しく把握しておくと、注文時の解像度が格段に上がります。
フォーの元祖であり王道とされるのが、牛肉を用いた「フォー・ボー(Phở Bò)」です。牛大腿骨やアキレス腱などを数日かけて煮込んだスープは、ゼラチン質とアミノ酸が凝縮された力強いコクを誇ります。本場では肉の加熱具合や部位を細かく指定するのが一般的です。沸騰したスープを注いで予熱で火を通す半生牛肉の「タイ(Tái)」、ホロホロになるまで煮込んだ熟成肉の「チン(Chín)」、プルプルとした食感の牛スジ「ガン(Gân)」など、一杯の中で異なる肉のテクスチャーを楽しめるのが最大の魅力です。
一方、1930年代後半に誕生したとされる「フォー・ガー(Phở Gà)」は、丸鶏を弱火で優しく煮出して作られます。澄み切った黄金色のスープは、鶏特有のふくよかな香りと生姜のアクセントが効いており、驚くほど軽やかで滋味深い後味を残します。しっとりとした鶏胸肉や弾力のあるもも肉がトッピングされ、仕上げに散らされる極細切りのライムの葉(ラー・チャイン)が爽快なアクセントを添えます。
これらのスープを受け止めるフォーの米粉麺の特徴は、平打ちの滑らかな形状にあります。主原料である米粉に少量のタピオカ粉をブレンドすることで、プルンとした独特の弾力としなやかな喉越しが生まれます。小麦麺のような強い主張がない分、牛や鶏から抽出された極上の出汁をスポンジのようにたっぷりと吸い上げ、口の中へ届けてくれるのです。