クレムリンの意味とは?大統領府の代名詞となった歴史と現在
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ニュースで語られる「クレムリン」の原義は、ロシア語で「城塞」「要塞」を意味する普通名詞「クレムリ(кремль)」に由来します。語源については諸説あり、スラヴ祖語で強固な木材や松の巨木を意味する言葉、あるいは周囲を険しい土手や川で囲まれた「要害の地」を指す古語から派生したとする説が言語学的に有力です。 かつての中世ロシア(ルーシ諸公国)において、外敵の侵入から都市を守るために周囲を木造や石造りの高い壁で囲った防衛拠点は、すべて「クレムリ」と呼ばれていました。現在でもノヴゴロド、カザン、スーズダリ、プスコフなど、ロシア全土に20か所以上の歴史的なクレムリンが現存しています。 それにもかかわらず、世界中で単に「クレムリン」と呼ぶ場合、ほぼ例外なく首都モスクワにある「モスクワ・クレムリン」を指します。14世紀以降、モスクワ大公国が台頭してロシア統一の拠点となったことで、モスクワのクレムリが国家統合と絶対的支配の象徴へと昇華し、定冠詞を伴う固有の存在として認識されるに至りました。 現代の日本語や国際報道におけるクレムリンの意味と使い方は、以下の二つの文脈で使い分けられています。 * 物理的・地理的実体:モスクワ中心部、モスクワ川の河畔に建つ赤レンガの城壁に囲まれた総面積約27.5ヘクタールの複合建築群(世界遺産)。 * 政治的換喩(メトニミー):「ロシア大統領府」「ロシア連邦政府の中枢」「プーチン政権の最高意思決定層」そのものを示す政治用語。 日本のニュースで「クレムリン筋からの情報」「クレムリンの反論」と表現される場合、それは城壁のレンガが喋っているのではなく、「大統領補佐官や報道官を含むロシア大統領府の公式見解」を指しています。アメリカ合衆国政府を「ホワイトハウス」、日本政府の中枢を「永田町」や「首相官邸」と呼ぶのと同様の修辞技法です。