被疑者とは?容疑者・被告人との違いや逮捕後の流れ・前科の真相を解説
被疑者とは?容疑者・被告人との違いや逮捕後の流れ・前科の真相を解説について専門的な視点から解説いたします。詳細な分析をお届けします。
ネットの掲示板やSNS上で最も頻繁に見受けられる致命的な勘違いが、「警察に逮捕されたら、その時点で一生消えない前科者になる」という言説です。捜査の実務から言えば、これは完全な誤りです。被疑者に前科はつくのかという疑問に対する法的な真実は、「逮捕されただけでは前科は一切つかない」です。
法的な概念として、「前科」と「前歴」は明確に峻別されています。 前歴とは、警察や検察などの捜査機関によって犯罪捜査の対象となった事実(逮捕、書類送検、事情聴取など)を指す行政上の記録です。これに対して前科とは、検察官によって起訴され、裁判所において有罪判決(懲役刑、禁錮刑、罰金刑、さらには執行猶予付き判決や略式命令を含む)が確定した事実のみを指します。
たとえ現行犯で派手に逮捕され、パトカーで連行される姿が夕方のニュースで実名報道されたとしても、検察官が「起訴猶予」を含む不起訴処分を下せば、前科は0件のままです。また、裁判で無罪判決を勝ち取った場合も前科はつきません。法的な身分証明書である戸籍や市区町村の犯罪人名簿に記載されることもなく、法の上では「前科のない一般市民」としての地位が保たれます。
しかし、現代のネット社会における最大のリスクは、法的な前科の有無と世間的な社会的制裁が完全に乖離してしまっている点にあります。一度でも「〇〇容疑者を逮捕」と実名報道されると、その記事や動画はインターネット上に瞬時にアーカイブ化され、検索エンジンやSNSのタイムラインに半永久的に残り続けます。これがいわゆるデジタルタトゥーの恐怖です。法的には不起訴となり前科がついていなくても、勤務先から解雇されたり、就職活動での身辺調査で不採用になったり、賃貸住宅の審査に落ちたりといった、極めて不条理な社会的ペナルティを背負わされ続ける被害が後を絶ちません。